Q1.帯状疱疹とは、何が原因で起きるどんな病気なんでしょうか?
子供の頃にかかった水疱瘡のウイルスは、治ったあとも、からだの中の神経に潜んでいてねむっています。
そのウイルスが何かのきっかけ、たとえば年をとったり病気などで抵抗力がおちてくると、目がさめておきあがり、暴れだして皮膚に水疱瘡とは違う症状をおこしてくる。これが帯状疱疹です。
Q2.では、水疱瘡にかかった人は、みんな帯状疱疹になるのでしょうか?
みんな帯状疱疹がおきるわけではありません。水疱瘡にかかった人は、体の中でそのウイルスが眠っている状態ですが、ふたたび目がさめて、帯状疱疹をおこすのは、10人に1人から2人くらいです。
Q3.なるほど。ではかかった場合にはどのような症状がでるのでしょうか?
帯状疱疹の「たいじょう」というのは「おびじょう」と書きます。
おびじょうに「ほうしん」つまり「みずぶくれ」ができるという意味です。
皮膚症状は特徴的でわかりやすく、からだの左右どちらか半分に、おびじょうに、あかみや水ぶくれができてきます。この分布のしかたは、ウイルスが暴れだす時とおる神経の走行と関連しています。
また、これに伴ってピリピリ、チクチクした痛みがあります。この痛みは、あかみや水ぶくれといった皮膚の症状が出る前から出現することが多く、痛みしかないこの時期では他の病気、たとえば腰痛や神経痛といったものと区別がつかないこともあります。
痛みもやはり、皮膚症状とおなじがわの、からだの左右どちらか一方におこりますが、必ずしも皮膚症状がある場所だけが痛むのではなく、同じ側の水ぶくれができている場所からすこし離れているところや、からだの右側にできているのに頭の右側が痛いといったこともあるのが特徴です。
また、お子さんや若い人の場合は、比較的痛みが軽いことが多く、痛みがなくてかゆい、もしくは痛くもかゆくもないこともあります。
Q4.ところで、この病気は人にうつりますか?
先ほどお話したとおり、帯状疱疹のウイルスと水疱瘡のウイルスは、同じものです。ということは、はじめてこのウイルスに感染する場合は「水疱瘡としてかかる」ということになります。
理論的には、帯状疱疹から帯状疱疹としてうつる、ということはなく、うつる場合には帯状疱疹から水疱瘡がうつる、ということになります。
まわりに、まだ水疱瘡にかかったことのない人、特にお子さんや妊婦さんがいる場合は、水ぶくれが治るまでの間、できるだけ近づかないようにしましょう。
Q5.この病気になる人は、年齢や性別によって違いがありますか?
お年寄りに多く、若い人には比較的少ないようです。
これは、病気の発症が抵抗力の弱い人に多い、といったことと関係があります。
性別はやや女性に多いようですが、なぜかはわかりません。
Q6.帯状疱疹にかかったら、どんな治療をするのでしょうか?
治療は症状にあわせて行います。症状は大きく二つに分けられます。
ひとつは、あかみや水ぶくれといった皮膚の症状で、これは普通2~3週間でかさぶたになって治っていきます。
もうひとつは、チクチクピリピリする神経痛です。神経痛は皮膚の症状が出る前から出現したり、さらには皮膚症状が治ったあとにも帯状疱疹後神経痛として長く残ることがあります。
治療の要点は、この帯状疱疹後神経痛を引き起こさせないことです。
そのために、なるべく初期にウイルスを殺す薬、抗ウイルス薬による治療を始める必要があります。ウイルスによって神経が破壊されてしまうと、神経痛を残しやすくなると言われているからです。
そのほか、痛みが強ければ、痛み止めの飲み薬や坐薬を使います。
また、ビタミンB12の内服は神経の再生に有効です。
皮膚の症状に対しては、水ぶくれがある時期には、二次的なばい菌感染を防ぐために抗生物質の塗り薬、ない時期には炎症止めの塗り薬などを使います。
また、皮膚症状が治ってきても痛みがある場合には安静を保つようにし、軽くあたためるようにすると痛みが和らぎます。
それでもなお神経痛が残る場合は麻酔薬による神経ブロック等が有効です。
Q7.一度治った後に再発することはありますか?
ふつうは、一度帯状疱疹にかかると再発しないとされています。
しかし、高齢や病気などで抵抗力が低下している人、免疫力の弱い人等には、まれに再発することがあります。
その確率は100人から200人にひとりと言われています。
Q8.それでは、この病気に対する予防法はあるのでしょうか?
水疱瘡にかかった人は、みんな体の中に帯状疱疹を惹き起こすウイルスを持っています。
そのウイルスは、人の抵抗力が落ちると目を醒まし、あばれだし、帯状疱疹を発症させます。
完全に帯状疱疹を予防することはできませんが、日頃から栄養・睡眠を十分にとる、ストレスをためないようにする、適度な運動を行う等、心と身体の健康に気を配って、体力や抵抗力を低下させないようにする事が重要です。
2016-03-14 11:12:52
コラム